つばさクリニックでの一ヵ月を終えて
倉敷中央病院 研修医2年目 矢野直子

つばさクリニックで、1ヵ月間研修をさせていただきました。まずはこの場をお借りして、お世話になりました方々、患者さん、患者さんのご家族の方々に深く御礼申し上げます。

地域研修先としてつばさクリニックを選択させていただいたのは、小児の在宅を見たいという気持ちからでした。私は来年度から小児科に進むことを決めていますが、研修医として小児科をローテーションしているときにも、呼吸器を必要とするような子供たちが感染症等で数多く入院しており、彼女達、彼達がどのように自宅で過ごしているのかを、しっかりと知っておく必要があると感じたからです。つばさクリニックでは、私のそんなわがままな希望を踏まえ、週に2回、小児の在宅ルートにつかせていただきました。また、その他の日には、もちろん大人の訪問診療ルートにつかせていただきましたし、訪問薬局をされているトマト薬局の見学、創心會の方々に取り計らっていただきMSW、訪問看護、訪問リハビリといった様々な職種の体験や、デイサービスや療育の現場も見せていただきました。こうして、この1ヵ月を振り返ってみると、本当に様々な経験をさせていただき、感謝の気持ちに耐えません。
小児の在宅に関しては、不謹慎な表現かもしれませんが心の温まる瞬間が多かったように思います。それぞれのご家庭がそれぞれの形で日常生活を送っておられる様子が印象的で、入院中というのはご本人もご家族も体力的にも精神的にもしんどい部分があるのだということを再確認できました。治療のみならず、そういった自然な日常生活を守ることが医療の役割のひとつのように感じています。もちろん、道中に先生方から聞くお話や、現場を通して、まだまだ解決できていない問題も目の当たりにしましたが、そういった課題のひとつひとつが具体的なものとして感じられたのも1ヵ月間の収穫だったように思います。
大人の在宅に関しては、実は特に大きなモチベーションを持って臨んだわけではありませんでした(すみません)。ただ、実際に現場に出てみると、この2年間、臨床病院で疑問に思ったり悩んだりしてきたことの答えがほんの少し見えたような気がして、本当に充実した日々でした。在宅医療の現場では、やはり終末期の患者さんを診る機会が多くありましたが、その患者さん、その家族の方々が望む最期の形をできるだけ実現できるようにサポートしていく様子は、一種のオーダーメイド医療といっても過言ではないような気がしています。『全人的医療』なんていう言葉を大学の講義で耳にすることは多かったですが、百聞は一見にしかず、在宅医療の現場はまさに『全人的医療』の現場でした。
コメディカルの方々とのふれあいが多かったのも、貴重な体験となりました。つばさクリニックの看護師さん、ドライバーさんをはじめ、上記しましたような様々な職種の方と協力して医療を行っていく様子は、私の理想とする医療現場で、今後の人生にとって大きな影響を与えてくれそうな気がします。どれも、普段は経験しないようなことばかりで、貴重な時間でしたが、特に印象的だったのが、訪問看護師さんがおっしゃっていた言葉です。その方は、訪問看護に行くときは、自分を丸ごと見られるので、まず人としての自分を鍛えないといけない、というようなことをおっしゃっており、在宅医療の良さも難しさも表す言葉だなあと感じています。尊敬できる方々に数多く出会えた1ヵ月でした。

この1ヵ月を語るにはまだまだかかってしまいそうで、一旦切り上げることにしようと思います。在宅医療を垣間見れたことは、私の中では大きな経験でしたし、同時に今現在従事している、急性期病院の意義を再確認できた1ヵ月でもありました。繰り返しになりますが、お世話になりました先生方、スタッフの方々、お忙しい中時間を作ってくださいましたトマト薬局や創心會の方々、患者さんとそのご家族の方々、本当にありがとうございました。また、どこかでお会いするかもしれませんが、そのときには成長したなと思っていただけるよう、精進してまいりたいと思います。

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