医学生実習

「地域医療」と聞いた最初のイメージは、患者さんはお年寄りが中心で、一つの専門分野に特化しているのではなく総合的な医療を行うもの、そしてお年寄りを中心とした医療を行っている、死期の迫った患者さんを相手にすることが多く、精神的にも大変なものなのではないだろうかと考えていました。また、つばさクリニックは特に24時間対応の訪問診療を行っていると聞いて、医師に休みはあるのだろうか、体力的にも厳しいのではないだろうかなどと考えていました。しかし、実際につばさクリニックに行ってみると、その最初のイメージは大きく変わりました。初日に病院に伺うと、朝礼が始まりました。患者さんについての情報を共有するために開かれるのだろうと思っていると「もし7億円が当たったら」という題材で1分間スピーチが始まり、冗談を言ったり、7億円について熱く語っている医師の方がいらっしゃったりと、とてもアットホームな雰囲気の病院で私は驚くとともに、地域医療を行っているつばさクリニックがこんな明るい場であると初めて知りました。また、24時間対応についても、当直の医師、看護師、ドライバーの方以外の人は、17時半には病院を後にしており、また先生にお話しを聞いていると、ご家族との旅行の話をしてくださったり夏休みの予定を教えてくださったりと、自分の時間、家族の時間ももてているのだなと知りました。
訪問診療に同行させていただいて、多くのことを学びました。患者さんの中にはお年寄りだけではなく、小児の患者さんもいらっしゃるということ、訪問看護さんや訪問薬局さんが存在し訪問診療と協力してケアを行っているということ、医師、看護師、ドライバーの3人がチームとなって効率よく診療を行っていることなどです。3日目には看護師の方が行っているバイタルのチェックを体験させていただきました。バイタルのチェックは毎回の訪問診療で看護師の方が行っているものであったので、3日目には見慣れ、頭ではやることはわかっていました。しかし、いざ患者さんを目の前にするとどんなお声をかけたらよいのか、どんな風に接したらいいのかなどが分からなくなり、とても看護師の方のようにテキパキと行うことができず、見ているよりもずっと難しく感じ、知識だけでは医療はやっていけないと改めて痛感しました。
訪問診療に同行していて一番印象的だった場面は、お看取りの場面です。いままで誰か亡くなるという場面に遭遇したことがなかったため、「今からお看取りに行きます」といわれた際には、あまりに突然のことで、どういう心構えで行けばいいのだろうか、どういったことをしに行くのだろうか、ご家族の方とどう接したらいいのだろうかとたくさんの疑問、そしてちょっとした怖さを感じながらご自宅へ伺わせていただきました。実際にお看取りに行くと、家族に囲まれ、ベッドの上で、まるで寝ているかのような患者さんがいらっしゃいました。この患者さんはこの一晩乗り切るかどうかという状況であったらしいので、ご家族の方は、患者さんの死はある程度覚悟されたうえでのお看取りでしたが、それでもご家族の方のショックは伝わってきましたし、亡くなる瞬間に立ち会えなかったことに大きな後悔を抱えている様子でした。そんな状況において、先生が「みなさんが一緒にいらしたときはみんながいるから頑張ろうと一生懸命生きていたのだと思います。」とさりげない言葉がけをしていたことは大変印象に残っていますし、そんな風に私が医者になったときにお声がけができるようになりたいと強く思いました。このお看取りの少し重たい雰囲気とういうのは一生忘れることはないだろうと思いましたし、大きな刺激となりました。
つばさクリニックでは、実際に訪問診療に同行させていただいただけではなく、個別に訪問診療について、訪問看護さんについて、ソーシャルワーカーという職業について、患者さんと接するにあたって必要なことなど多くの講義をしてくださり、今まで医療の基礎を座学でしか学んでこなかった私にとって、たくさんの知識を得られました。医療が大変幅広いものであること、医師だけでは医療は成り立たないということ、地域医療の必要性、それを支える医師以外の職業について学びました。
5日間という大変短い期間でしたが、つばさクリニックの方には大変お世話になりましたし、このアットホームな雰囲気が大変わたしは好きで、居心地がよく、最終日にはさみしく思いながらつばさクリニックをあとにしました。また、どこかでお会いする機会がありましたら、ぜひお声をかけてください。

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