地域医療体験実習レポート
実習施設 つばさクリニック 実習期間 2015/11/09~13
岡山大学医学部 越智正彦

初めに、実習期間を振り返ってみると一日目の朝はとても緊張していた。初対面な目上の人たちが慌ただしく準備していて、その様子を眺めているだけだった。カンファレンスが終わり訪問診療に向かうとなったとき、内心ゆっくりできると思うのも束の間、15分で二人見る急ぎ様で常に忙しいのが在宅医療かと思うほどだった。しかし、時間に余裕が出来て患者の家族と腰を降ろして話す場面もあり、自分が予め在宅医療に抱いていたイメージもそう外れていないのかなと思えた。それから毎日訪問診療に同行し、診察の流れが大まかに分かったあたりでバイタルを図る手伝いが出来た時は、初めから上手に出来はしなかったが、見学だけの時よりも実習をしている充実感を抱けた。四、五日目は訪問診療以外に訪問看護、訪問薬局に同行し、それぞれが行う医療の中での患者との距離感、接し方を学ぶとともに、在宅医療は複数の施設が連携して初めて成り立つものだと理解した。クリニック外での実習は以上で、クリニック内ではいくつかのレクチャーを受け、どれもが在宅医療をより深く知るための糧となった。中でも振り返り実習では、その日に体験した出来事とその時に感じた気持ちの再確認を行い、言葉にして自分以外に伝える事で、自分が気づいたことの中で一番大事だと思えることを見つけることが出来た。
次に、五日間の実習を行う中で自分がテーマにしていた「在宅医療の味を知る」について、どれくらい在宅医療について学び、理解し、思いを抱いたか改めて振り返りたく思う。まず感じたのは、患者の家は多種多様で、患者自身が生活しやすいのか、介護者が動きやすいのかを想像する必要があること。次に患者とその家族に医師がどう関わっているのかを見て感じたことだが、とても距離感が近く感じた。拙い表現では塾講師か家庭教師かの違いに似ていると思う。患者側は自分のために診療に来てくれている事に信頼を、診療の場が自宅である事に安心感を抱いているように思えた。医師側は患者宅にお邪魔する事に礼儀正しく振る舞い、だからといって畏まり過ぎることもない丁度いい距離感を保っていると思えた。ときには家族と一緒になって談笑したり、医師として助言を求められるときには紳士に対応したり、訪問診療の経験を重ねることで身に付いた技量なのだと感じた。自分もバイタルを測る際に患者と接して少しの会話は続いたものの、食事のことから食欲や便の様子を聞いたり、暦の話から体温を聞いたりと話を途切れないように話題を出して診療に役立つ情報も拾っていくのは簡単にできるものでは無いと感じた。
最後に、在宅医療は各施設との連携を確立し、患者宅を移動しても切れない体力を持ち、容態が急変しても直ぐには駆けつけられない事から患者家族に協力を求め、簡単には成り立たないものであると肌で感じた。そして簡単にできない在宅医療が益々求められている事に自分が将来医師として力を付けた時にどうやって支えていけるかを考えさせられる実習だったと思う。この実習はつばさクリニックのスタッフだけでなく訪問薬局や訪問看護センター、そして学生の身分でお邪魔することを受け入れてくれた患者とその家族があって成り立つものである事に心から感謝したい。実習時間はほとんど気が休まる時はなく大変だったが、それ以上に充実して心に残る五日間だった。この実習で関わった全ての人に感謝と、少なからずの失礼をお詫びして結びの言葉にしたいと思う。以上です。

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