初期研修医 2年目  飯田 悠人

初期臨床研修で必修となっている「地域医療」研修のため、2009年11月の1ヶ月間をつばさクリニックにて研修させていただきました。

研修が始まるまで、地域医療とはなんなのか、往診と訪問診療の意味も分からない状態でした。訪問診療に同行させていただいてまず感じたのは、病状は落ち着いているけど自力で外来に通うことが難しい患者さんは身近な地域にたくさんいる、ということです。退院前カンファレンスに同席し、自宅に帰りたいけど、環境が整わずなかなか帰れない、という患者さんがたくさんいることも実感しました。そういった方たちが、自宅で必要な環境を整え適切な医療が受けられるように、患者家族、ケアマネージャ、訪問看護士、ヘルパー、医療機器メーカ、訪問診療医、病院主治医が連携し知恵を出し合って患者さん本人、家族みんなにとって満足できる療養を実現することが地域医療の役割だと感じました。

病院に長期入院していた患者さんとその家族が自宅での療養を開始するにあたり、一番気がかりなのは「何かあったらどうしよう」という漠然とした不安な気持ちだと思います。初回訪問のとき、中村先生の診察、これからの療養に向けてのお話の後は、家族から不安な表情が消え、「いい先生に出会えてよかった、これで安心だ」という安堵の表情があふれていました。そしてそれは訪問を重ねるごとにより強い信頼関係となっていきました。訪問診療ではよりいっそうの医師-患者間の信頼関係が大切であると改めて感じました。

看取りにも立ち会う機会がありました。今までは病院での看取りをみてきましたが、私が感じた一番の違いは、在宅での看取りでは看取った家族にある種の達成感のようなものがあるということです。在宅では、今が最後の時期であるということを見つめ、残された時間をどのように過ごしたいかを中心に療養をしていきます。環境をととのえ、家族もできるケアを自ら行うことによって、大切な人の死を受け入れる心の準備が少しずつできてくるのだと感じました。病院では、こうはいきません。死の直前まで延命のための治療をつづけていきますので、亡くなったときのショックは大きく受け入れるまでには時間がかかるように思います。超高齢社会の現在、自宅での療養をサポートする体制は今後ますます必要となってきています。つばさクリニックのような訪問診療を必要としている人はたくさんいます。私自身は将来違う道に進む予定ですが、つばさクリニックのような訪問診療がこれからますます発展していってほしいと思います。私も真に必要とされる医療を提供できる医師となれるよう、これから努力していきたいと思います。

一ヶ月間という短い期間でしたが、私の医者人生において、かけがえのない貴重な体験のできたとても充実した一ヶ月でした。お世話になりました。

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